2007-02-16から1日間の記事一覧

●第五十回芥川賞作品「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニー)」(田辺聖子)

第五十回芥川賞作品は、田辺聖子の「感傷旅行」である。時代は昭和三十八年、彼女が35歳のときの作品である。大阪勢である。表現世界に大阪勢というか、関西風というか、そういった一味違う作風や姿勢が存在するようである。彼女も含めて12名で同人誌「…

 ●河野多恵子の「蟹」

第四十九回で後藤と同時受賞した河野多恵子の「蟹」に触れておく。 現在でこそ、河野は「小説の秘密をめぐる12章」などという、小説表現技法のような、評論のような作品で、すっかり作家然として、「新人の作品を読むときは緊張するが、年季の入った作家の…

 ●芥川賞が発掘した独特な小説世界、戦後初期編。

●第四十七回(昭和三十七年)受賞作、「美談の出発」(川村晃)。 ●第四十八回(昭和三十七年、下半期)、受賞作なし。候補作は、「美少女」(河野多恵子)など。 ●第四十九回(昭和三十八年)受賞作、「少年の橋」(後藤紀一)、「蟹」(河野多恵子)。 こ…

●第四十五回はなく、四十六回の受賞は「鯨神(くじらがみ)」(宇能鴻一郎)

名前だけを知っていて、それが、世間的評判の一人歩きで勝手な作家像を作り上げているといった作家がわたしの中で時たま存在している。宇野鴻一郎もその一人であった。たまたま、この企画で、唯一受賞作に接することができたというわけだ。だから作者と作品…

第四十五回はなく、四十六回の受賞は「鯨神(くじらがみ)」(宇能鴻