2008-01-01から1年間の記事一覧

「國文學」という雑誌がある。

歴史のあるこの雑誌、最近の人間はこの雑誌の存在さえしらない人が多いのではなかろうか。よく持ちこたえていると思う。また、これからもずっと続けてほしいと思うが、ちらほら廃刊の噂も漏れてくる。文芸雑誌「文学界」の同人誌批評欄も今年いっぱいでこの…

第51回群像新人文学賞、批評部門入選作、武田将明の「囲われない批評」

文芸批評家東浩紀の実験的作品「キャラクターズ、東浩紀+桜坂洋」を評論する、非常にメタ批評な作品が今回の群像新人文学賞批評部門で同世代の武田将明「囲われない批評」が入賞したが、この作品はおもしろいことに、東が自ら小説を書いて、その真髄を純文…

ペンネーム安西果歩さん救急車で運ばれ集中治療室に!

心臓にペースメーカーを入れ、一日強行スケジュールで毎日を休みなく駈けずり回っていた同人誌「サルベージュ」の実質的な編集者でもある彼女が6月5日倒れ救急車で病院に運ばれ集中治療室に入ったままいまだめんかいできないままでいる。まことに心配である。…

こちらの小説のほうが目的に適っている。

「ファントム、クォントム、序章」を読んでいると、またしても「新潮」10月号で別の東の小説を発見した。いかに私から「新潮」が遠く離れていたかということだ。おそらくこの奇妙なタイトルの実名小説が、「ファントム・・・」の動機になっている小説なのだ…

*タイトルの意味は序章だけではまだ掴めない。

小説内容がつかみやすいように、序章の構造を記しておく。語り手らしき一人称形式で二人の人物、「ぼく」と「わたし」が語る。全体は5節にわかれていてそんなに長くはない。「ぼく」は一節にのみ、あとの節は全部「わたし(女性)」で、読み進めるうちに「…

ゲイの中国人スパイのなれの果てのほうはどうなった?映画「M・バタフライ」

今月のUSENネット配信の映画「M・バタフライ」を久しぶりに鑑賞しました。1993年のクローネンバーグの作品です。この映画のラストシーンを今回わたしは、三島のあの自衛隊官舎での自殺とダブらせて観てしまいました。この映画のラスト、ジェレミー・アイ…

思想的に欲張りが「ガリバー」的になって大風呂敷な「序章」である。

毎月大手出版社の5大文芸誌「文学界」「すばる」「群像」「新潮」「文芸」には目を通すことにしているのだが、毎回なぜか「新潮」だけはあまり私の関心を引かない雑誌だった。しかし今回、その雑誌にガゼン注目したのには理由がある。東浩紀という名前だ。…

 文芸雑誌「新潮」は「別の世界」のメディアか?

かって、言論界の若き批評家東浩紀は、言論界の誰もが「のたまう」小説の死を、彼はかれなりの言葉でつぎのようにいう「僕にできることは、僕がすばらしいと信じるものが正当に評価される状況を作るべく、言説で多少とも世の中を変えていくことです。僕は、…

●映画「Bngkok Love Story」を観た。2007年タイの短編作品である。

今月から我が「文学関連」ブログに「映画」のカテゴリーを追加しました。いわゆる「ハリウッド映画」に限らず、マイナーな映画を発掘して、文芸時評の地平を広げていきたいと思います。ちょうど、昨今は、60年代の日本で「芸術映画」「作家映画」などと称し…