2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

●「文学界」2月号、同人誌評の紹介。

「サルベージュ」11号の中の作品、2作「冬の夕焼」(小橋菊枝)と「ゆき筺(かたみ)」(瀧本由紀子)が批評されたので、その「文学界」2月号の内容を詳しく紹介する。同人誌評の今回の全体のタイトルは「驕慢、怠惰の陥穽」で、評者は松本徹(33年生…

●よかった、よかった!おめでとう!

やっと、「芥川賞受賞作品の読破」の合間に、恒例の雑誌「文学界」を再び読み始めたところであった。今年(2007年)一月号も、この二月号も初めに、まずは一通り目を通していたはずだった。しかし、それは大御所風で通過していた。細部はほとんど省いての通…

●理想の国家を創造したのは良いが、

筒井康隆風小説の異世界も、その裏には実際の現実、背景というものがあって、それがパロディのように、様々なレトリックを駆使して「妄想」される文体世界が、いかにその現実、その実態と乖離するか、この笙野の文体にもある。小説が、こうでもして描かれな…

●「無明長夜」(吉田知子)

「女性」という存在は、もうそれだけで、そのまま「マイノリティ」という特殊存在になってしまうようで、芥川賞受賞の女性作家どれを読んでも、これまでのところ、どこかそのままの実態が描かれていても、実に個人的不満が鬱積しているような気配はどの作品…

●「プレオー8の夜明け」(古山高麗雄)

芥川賞受賞作品としては珍しく、初の「ゲイ」の登場の作品である。メディア的表現の世界では、おそらく芥川賞始まって以来、小説という作品化の世界で主流として描かれた、そのすぐ傍で何やら正体不明の影の存在はずっとあり、それはその作家の主体性の主張…

●純文学とはなんだろう?

純文学とはなんだろう?という問いの答えがますます曖昧になり、一言で定義させることは容易な技ではなくなった。逆に、解りやすく、辞書のように簡潔に説明すればするほど、すっきりした答えは遠ざかるばかりである。日本近代文学成立いらい、何度も、「純…